Access習得のコツ
ここでは、Microsoft Access(以下、Accessと省略します)の使い方をこれから学ぼうとしている皆さん向けに、習得のコツなどをお話します。参考になればうれしいです。
Microsoft Officeの一員なのに、何かと敬遠されがちなAccessですが、確かに覚えにくいものです。しかしそれは難易度が高いという意味ではなくて、「画面の中ばかり見ていても、今、何の操作をしているのか、把握しにくい」というところにあるんです。
たとえば、Microsoft Officeの先輩分でもあるExcelと同じやり方・考え方では、習得は難しい。Excelを「平面的」と考えるならば、Accessには「奥行き」があると捉えることができます。この「奥行き」をうまく理解できるかどうかが、Access習得の重要なポイントになります。
Excel:平面的
操作できるもの/結果が、だいたい画面上のどこかに表示されているので、画面の中を見ていれば、現状を把握できる。
※:Excel2007の画面
Access:奥行きあり
画面を見ても、これが何を表しているのか、今どういう状況なのかわかりにくい。この奥にあるものとのつながりを頭の中にイメージしながら操作する必要がある。
※:Access2007の画面
確かに、Accessは、一から使い方を覚えようとすると、とても難しいものです。というのも、
「画面の中だけ見ていても、今、何をしているか、これから何をしようとしているのか、わからない」
んです。
けど、市販の入門書やパソコン教室のテキストでは、画面を見ながら
説明していくよりほかに説明のしようがない。
それ以外のこと (Accessの場合はそこんとこが重要なんですが) は、本のとおりに操作をしながら、何かしら感じ取っていってもらうしかないのですが、そうなるとどうしても個人差が出ちゃいますよね。
Excelをよく使っている人がAccessを使い始める場合と、
OracleやSQL Serverなどのデータベースシステムの技術者の人がAccessを使い始めるときと、
桐やFileMakerなどのデータベースソフトを使っている人がAccessを使い始めるときと、
みんな、スタート地点が違うんです。上げ膳据え膳というわけにはいきません。
もし、Accessを習得しようと考えるなら、ちょっとは歩み寄っていただいて、画面に表示されていること、本に書いてあること、パソコン教室で教わったことの奥にあるものをうまく感じ取っていただかないとならないのです。はっきり言って、画面の表示内容にばかり気を取られていると、Accessの習得は不可能に近いです。
パソコンソフトの使い方を覚えようとするとき、どうしても、ソフトの仕様とか、ツールバーの位置とか、操作の順番を
覚えようとしてしまいますが、Accessの場合は、覚えるのではなく、
感覚を掴むつもりで取り組むほうがいいです。
例えば・・・。
皆さんが買ったAccessの本に、会員管理データベースの作成手順が載っていたとします。
「会員管理なんかやらないよ」と退けてしまわずに、本のとおりに会員管理データベースを作ってください。目的は会員管理データベースを作ることではなく、その作業を通して、Accessを使う上での感覚を掴むところにあります。
車の免許を取るとき、教習所に通って教習コースを走るのと同じです。
「そんな道、通る予定はないから走りたくない」なんて言う人、いませんよね。
「アクセルを3センチ踏んで、10秒たったらハンドルを5度右へ傾けて、首を右に向けて、左に向けて・・・」なんて、車や自分の身体の動きの順番を覚えようとする人も、いないと思います。
教習コースを走りながら、車を運転するという漠然と大きな動作の感覚を掴むのだと考えるべきでしょう。
運転ができるようになって、免許取ったら、次に、行きたいところへ行くための道順を調べればいいはずです。
Access自体はそんなに難しいソフトではないので、途中で挫折しなければ、すぐに扱えるようになります。基本的な操作をする程度であれば、データベースなどの専門の知識も必要ありません。大切なのは、より豊かな想像力を持つことなんです。
操作の手順を覚えようとしているうちは、どうしても、画面の表示にばかり目が行ってしまいますが、ときどきちょっぴり気持ちを切り替えて、今、画面の奥でどんなことが起きているか、想像力を働かせてみてください。
パソコンの内部で起きていることなんて、どうせ肉眼では見えないんですから、何か身近なものに例えて、自分にとってわかりやすいように想像すればいいんです。
パソコンの操作に詳しい人って、想像力が豊かでものの例えがうまい人だったりするんですよ。
Access覚えるなら、ぜひ皆さんも、ものの例えがうまい人になっちゃってください。
それと、もうひとつ・・・
Excelの上級者向けのソフトだと思っている人も多いのですが、その考えは止めたほうがいい。
パソコン教室のカリキュラムとして、Excelの次のコースがAccessになっていることはありますが、ソフトウェアの機能として上下関係があるわけではありません。まったく別物として考えたほうがいいです。Excelといちいち比較していると、Accessはなかなか習得できません。同じOfficeソフトですから、ぱっと見画面の様子が似ているので、比較したくなってしまうところなのですが、データの持ち方や構造が異なります。うまく比較できないなら、しばらくの間はExcelのことは忘れておいたほうがいいと思います。
最近、思うんです。
パソコンのソフトの性能って、半分くらいは、「使う人のやる気」なんじゃないのかな、って・・・。
以前、仕事で、80万件の部品データを分類マスターデータと照合しなければならなくなったことがありました。
担当になった人が、元になるテキストデータをいくつかに分割してExcelに貼り付けて、VLOOKUP関数を使うやり方でこの仕事をやり始めたのです。
私は最初、データを結びつける作業にワークシート&関数だなんて、最初は「それっておかしいだろ??」と思ったのです。それこそ、リレーショナルデータベースの真骨頂。VLOOKUP関数だなんて考えられない。そう思っていたんですが、でも、日が経つにつれ、考え方が変わってきました。
再計算のたびに10分くらい時間がかかっても、Excelのファイルの数が何十という数になっても、まったく苦にせ不満も言わず、生き生きと作業を続けて仕事を成し遂げた様子を目の当たりにしたとき、ああ、そうなんだ、そういうことなんだと、目からうろこが落ちました。
この人は、Excelを信頼している。
Excelしか使い方を知らなかったのかもしれませんが、結局同じことでしょう。
特別な場合を除いて、「Accessが使えるようにならないといけない」という状況はないんです。他のパソコンソフト使ったっていいし、手作業だって電卓だって、目の前の仕事を自分の納得いく形で完結することが最終目的のはず。
「Accessなんか便利なの?」「Excelのほうが使いやすいよ」と、そういう感覚を持っている間は、Accessの性能は半分も引き出せないのだと、そう思うんです。
Access自体も、人によって使い方はさまざまです。言われるがままにAccessの使い方を覚えるのではなく、「Accessの機能を自分のほうへ引き寄せてやろう」くらいの意気込みで取り組んでみてはどうでしょう。
どんなに優秀なソフトウェアでも、半分くらいは、使う人のやる気に左右されるものだと考えてみてください。
Access習得のための3つのポイント
- 画面の中の表示内容を直視するだけでなく、想像力を働かせて、身近なものに例えながら操作していこう。
- 使い方を覚えるより、感覚を掴むこと。ツールボタンのクリック順とか、手順を暗記しようとしても意味を成さない。
- Accessの各機能をこちらに引き寄せよう。パソコンソフトを生かすも殺すも私たちの「やる気」次第なのだ。
作成日:2008-12-29